日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PL-009
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12.言語・思考
日本語における比喩表現の解釈多様性と近傍意味密度の関係
*岡 隆之介楠見 孝
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抄録

「研究は登山だ」のような比喩表現において,その比喩の解釈がどのくらい多様であるかが,比喩の鑑賞において重要であることが示唆されている(Utsumi, 2007)。しかしながら,解釈多様性がどういった要因と関係があるのかについては十分には明らかになっていない。Reid, Al-Azary, and Katz(2020)は,言語モデルによって算出される主題の近傍意味密度が,主題の解釈多様性と弱い正の相関関係(r=.24)にあることを示した。本研究は,Reid et al.(2020)の研究結果を,岡・楠見(JPA2020)のデータで追試することを目的とした。具体的には,日本語の比喩表現45文を対象として,隠喩・直喩・主題・喩辞のそれぞれについて解釈多様性と近傍意味密度を算出し,それらの相関係数を算出した。結果,Reid et al.(2020)の結果とは異なり,主題の近傍意味密度は主題の解釈多様性と弱い負の相関の傾向がみられた(r=-.26, p=.10)。この結果は,日本語と英語で,解釈多様性と近傍意味密度の関係性が異なる可能性を示唆した。

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