主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
資本主義社会の格差が職業に基づく社会的分業から生じている側面を考えると,自他間の不平等に対する人々の反応が他者の職業でどのように調整されるのかを明らかにすることは重要である。本研究では,オンライン上で募集された248人(女性139人,男性107人,回答しない2人;平均年齢40.88歳)の参加者が,それぞれ異なる職業に就く5人に対してお金の分配を行った。5人の職業は,日本標準職業分類を元に用意した132の職業から5つをランダムに選び決定された(ディセプションは用いていない)。解析では,各職業を高次元ベクトル(word embedding;word2vec)としてモデルに投入した。効用モデル(Fehr & Schmidt, 1999)に職業ベクトルを投入した解析の結果,自己が他者より多く持つ不平等への回避傾向は,自己が他者より少なく持つ不平等への回避傾向よりも,他者の職業に影響されやすい傾向がモデル比較から示唆された。今後は,参加者がどのような意図で自己が有利な立場における不平等回避の度合いを職業によって調整したのかを検討するとともに,追加の実験を行いサンプル外でのモデル比較の妥当性を検証する。