日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PL-017
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12.言語・思考
自他間の資源分配における不平等回避が他者の職業によって影響されるメカニズムの検討効用モデルと意味空間モデル(word embedding)によるアプローチ
*上島 淳史瀧川 裕貴
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キーワード: 不平等, 意味空間, 意思決定
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抄録

資本主義社会の格差が職業に基づく社会的分業から生じている側面を考えると,自他間の不平等に対する人々の反応が他者の職業でどのように調整されるのかを明らかにすることは重要である。本研究では,オンライン上で募集された248人(女性139人,男性107人,回答しない2人;平均年齢40.88歳)の参加者が,それぞれ異なる職業に就く5人に対してお金の分配を行った。5人の職業は,日本標準職業分類を元に用意した132の職業から5つをランダムに選び決定された(ディセプションは用いていない)。解析では,各職業を高次元ベクトル(word embedding;word2vec)としてモデルに投入した。効用モデル(Fehr & Schmidt, 1999)に職業ベクトルを投入した解析の結果,自己が他者より多く持つ不平等への回避傾向は,自己が他者より少なく持つ不平等への回避傾向よりも,他者の職業に影響されやすい傾向がモデル比較から示唆された。今後は,参加者がどのような意図で自己が有利な立場における不平等回避の度合いを職業によって調整したのかを検討するとともに,追加の実験を行いサンプル外でのモデル比較の妥当性を検証する。

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