主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
向社会的な振る舞いは,その受け手に対して,向社会的行動を促進する効果を持つとされている。本研究では,幼児が,間接互恵場面において,向社会的な振る舞いの実行と不実行がその受け手の後の行動に及ぼす影響についてどのように予測するかを検討した。研究参加者は,幼児35名(平均年齢=6;3, 範囲=5;10-6;9)であった。BがAを助けたか否かと,CがBを助けたか否かの組み合わせによる4通りのシナリオが各参加者に提示された。Bがその後,別のDを助けるか否かについての予測が求められた。BがAを助けた場合には,助けなかった場合よりも,Dを助ける可能性が高く見積もられた。一方,CがBを助けた場合と助けなかった場合とでは,Dを助けるか否かの予測に差がみられなかった。幼児は,間接互恵場面における向社会的行動の実行・不実行についての予測をする際に,行為者自身の過去の行動の情報は利用するものの,行為者が他者から向社会的な振る舞いを受けたか否かによって行為者の行動が変化するという予測はしないことが示唆された。