主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
【目的】運動経験は,壮年期のアスリートの頭頂葉や前頭葉の灰白質容積の増大に関係すると言われているが,高齢者に関する報告はこれまでにほとんどない。本研究では高齢期のアスリートと非アスリートとを比較し,脳構造,認知・運動機能,運動訓練特性の関係を検討した。【方法】テニスなどの運動訓練を15年以上行い,現在も継続中のアスリート群25名(平均71.5歳)と,継続的な運動経験のない非アスリート群24名(平均71.0歳)を対象とした。脳構造はMRIにより撮像した。また,認知機能検査では語流暢性課題などを,運動機能検査では身体活動質問票(IPAQ)などを行った。さらに,アスリート群の運動訓練特性では運動訓練の継続年数などを調べた。【結果】アスリート群の右後頭頂皮質と右揳前部の灰白質容積は,非アスリート群よりも大きかった。また,認知・運動機能検査では,IPAQスコアがアスリート群の方が高かった。さらに,アスリート群について,群間差に基づき関心領域とした右揳前部は運動の継続年数との相関がみられた。【考察】揳前部は加齢により萎縮しやすいが,長年の運動訓練は揳前部の加齢による萎縮を軽減する可能性がある。