日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: PR-014
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18.スポーツ・健康
不健康だからおいしい? 日本人におけるUTI信念の検証
*齋田 涼裕末永 美聖坂井 信之
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キーワード: 食信念, おいしさ, 健康
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抄録

近年,食のおいしさへの認知的な影響について,不健康=おいしい信念(UTI)が注目されている。不健康な食品ほどおいしさを期待し,健康的な食品はあまりおいしくないとするUTIは,欧米で確認され,肥満の予測因子であることも示唆されている。本研究では,日本人におけるUTIの有無に加えて,日本食で問題視されている塩分へのUTIの影響を調べることを目的とした。大学生231名を対象に質問紙調査を行った。UTIスケールでは,UTIの強さについて,3つの質問に9件法で回答してもらった。平均評定値をスケールの中央の値と比較したところ,有意に低かった。塩分への影響については,一般的に塩分の多い和食とカロリーの高い洋食という区分で14品ずつ食品を選定し,その好き嫌いと健康を9件法で回答してもらった。好き嫌いと健康の評定値の相関係数を算出し,UTIの強さを間接的に調べた。その結果,洋食においては強い負の相関が見られたが,和食では有意な相関は見られなかった。これらの結果から,日本人はUTIを食全般について持っているわけではないこと,塩分摂取におけるUTIとは異なる心理メカニズムの存在が示唆された。

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