主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
近年,食のおいしさへの認知的な影響について,不健康=おいしい信念(UTI)が注目されている。不健康な食品ほどおいしさを期待し,健康的な食品はあまりおいしくないとするUTIは,欧米で確認され,肥満の予測因子であることも示唆されている。本研究では,日本人におけるUTIの有無に加えて,日本食で問題視されている塩分へのUTIの影響を調べることを目的とした。大学生231名を対象に質問紙調査を行った。UTIスケールでは,UTIの強さについて,3つの質問に9件法で回答してもらった。平均評定値をスケールの中央の値と比較したところ,有意に低かった。塩分への影響については,一般的に塩分の多い和食とカロリーの高い洋食という区分で14品ずつ食品を選定し,その好き嫌いと健康を9件法で回答してもらった。好き嫌いと健康の評定値の相関係数を算出し,UTIの強さを間接的に調べた。その結果,洋食においては強い負の相関が見られたが,和食では有意な相関は見られなかった。これらの結果から,日本人はUTIを食全般について持っているわけではないこと,塩分摂取におけるUTIとは異なる心理メカニズムの存在が示唆された。