抄録
関数概念の形成過程を誤認識の理解水準別分析によって検討した。ここでは小学校第2・3・4学年について第II水準の分析により傾向をまとめた。2年は正事例の判断のみ理解可能であり,概念形成のきっかけが認められた。3年は正事例は3/4程度,負事例は1/3程度理解しており,概念形成への移行期とみられる。4年は正事例についてはほとんど,負事例も半数程度理解でき厳密な概念形成への接近期といえよう。これらの事からこの分析法により学年の特色が把握できることが確認できた。本研究を進めるに当っては,岡山大学教育学部数学科,坂田〓教授の指導・助言を受けた。