抄録
民間設備投資主導型の内需拡大がなおも続いている。そのエネルギーの旺盛さは戦後最長であった「いざなぎ景気」をもしのぐのではないかといわれている。GNPに対する民間設備投資比率は1988年にはついに20%を越え空前の高さに達している。ドル建の規模では日本の設備投資は1988年にアメリカのそれを追い抜き,いまや自由世界のトップランナーになってしまった。産業連関分析でこの旺盛な設備投資ブームの原因――特に技術革新との関連づけ――と国民経済的な波及効果とを業種別に眺め,最後にこの設備投資ブームの展望を試みる。中期的には,情報化を中心とする技術革新の進展経営の多角化製品開発などのリストラクチャリングへの対応など独立投資的要因が旺盛で,投資拡大が持続する可能性が強い。