2008 年 16 巻 3 号 p. 41-56
我が国では,平成21年と23年に初めての経済センサスが計画されている.経済センサスは,産業連関表推計において最も重要な基礎統計となるものであり,経済センサスの実施によって,日本の産業連関表の推計手法は大きな変革のときを迎えることになるであろう.これに先駆けて,2008年12月に発表された「公的統計の整備に関する基本的な計画」に関する答申では,将来の産業連関表として,SNA において推奨されるSUT(供給・使用表)体系への移行を検討することが明記されている.そこで本稿では,SNA におけるSUT の性質を明らかにし,現在の日本の産業連関表との比較を通じて,両表の性質の違いを分析する.また,今後SUT 体系を導入する際の課題を整理している.