抄録
産業としての観光は,広範なサービス産業の中でも比較的低所得の雇用機会を提供し,就業者の社会的地位が相対的に高くない等の偏見が存在する.別の見方を すれば,地域社会における地場産業としては比較的に就業者の最終学歴や専門性に基づく排他性が低く,雇用吸収力が高い産業であるとの見方もできる.この研 究は,地域政府が観光を産業として奨励しようという政策を検討するに際し,他の輸出産業奨励と比較してどのような経済的効果があるのかを Social Accounting Matrix(SAM)を利用して地域住民への所得分配効果を検証することで比較分析することを啓蒙するものである.