抄録
高齢化時代によって医療と福祉は新しい変貌を遂げようとしている。いわゆる「高齢化福祉社会」の展開である。産業連関表はこの種の分析には絶好のフレームワークを提供する。医薬品産業と医療産業はI-O分析の波及効果の面でもそれぞれ特有の性格をもち,マイクロ・エレクトロニクス化の技術革新のなかで,一段と高度化する一方,医療費の高騰化をも招き,「制度改革」を要請している。他方で医療サービス部門では「外注化」も進展しており,情報ネットワーク化とも密接に結びついて高度化が進みつつある。「業際的」な新しいビジネス・チャンスがここでも生じつつある。また福祉と医療の連携の必要性が高まり,公的活動と民間活動との問で新しい分担関係の問題が浮上している。ここでもI-O分析は福祉・医療の研究のフロンティアーにとって不可欠となる。以下,これらの構造変化の問題を検討しよう。