2023 年 30 巻 2 号 p. 36-48
本稿では,供給・使用表からの対称産業連関表の推計に関して,第1に国民経済計算体系での事業所による生産活動に副次的生産が含まれること,供給・使用表から産業連関表への変換を必要とすることを述べる.第2にこの推計に際しては,国連で示されている大きく2つの技術仮定と販売構造固定仮定に沿って,さらに細分化した4つの仮定(生産物技術仮定,産業技術仮定,産業販売構造固定仮定,生産物販売構造固定仮定)に応じて変換がなされることを数式と数値例も含めて示す.第3に副次的生産の存在によって,幾つかの仮定に基づく変換の結果,ほぼ不可避となる産業連関表の投入係数の負値への対処方法について述べる.