産業連関
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30 巻, 2 号
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講座
  • 中村 洋一
    原稿種別: 講座
    2023 年 30 巻 2 号 p. 1-9
    発行日: 2023年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

     SNAにおいてもっとも基本的な勘定体系の流れは,経常勘定に始まり,蓄積勘定を経てバランスシートに結実するそれである.供給・使用表(Supply and Use Tables, SUT)は,基本的な勘定体系とともにSNAの主体系(integrated central framework)を構成する.基本的な勘定体系が所得の発生,分配,再分配および支出を記録するのに対し,SUTは代替的な観点からの経済の叙述,すなわち生産プロセスと生産物の利用を描く役割を果たす.これにより,生産物がどこから来てどう使われたかを示す形で,産業と生産物という次元を加えることになる.

  • 高山 和夫
    原稿種別: 講座
    2023 年 30 巻 2 号 p. 10-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2022/09/01
    ジャーナル フリー

     本稿では,数次の国民経済計算体系(System of National Accounts,以下「SNA」とする.)改訂の歴史をたどりながら,SNAにおける産業連関表の位置づけについて説明する.また,1968SNA時の「U表」および「V表」を源流として,1993SNA時に供給・使用表(Supply and Use Table:以下,「SUT」とする.)が勧告された背景及び理由について,主にヨーロッパの影響に焦点を当てて,歴史的経緯について説明する. 以下では,第一に1968SNAにおける「U表」および「V表」導入の理由と背景,および1968SNAにおける産業連関表の位置付けについて述べる.第二に1993SNAにおけるSUT導入の理由・背景と,更にSNA改訂の国際的な議論の経緯を明らかにする.第三に2008SNAにおけるSUTと産業連関表の位置づけについて説明する.

  • 新井 園枝
    原稿種別: 講座
    2023 年 30 巻 2 号 p. 19-26
    発行日: 2023年
    公開日: 2022/10/25
    ジャーナル フリー

     我が国の伝統的な産業連関表は商品×商品表(近年は「生産物×生産物表」とも呼ぶ)である.わが国では長年にわたり各省庁の統計ノウハウを駆使し,約4年の歳月を費やして商品×商品の基本分類表を作成し,さらに1年を追加して各種付帯表(10種類)を公表してきた.近年この作成方法について各方面から様々な意見が出され,さらには供給・使用表(Supply and Use Table, SUT)の作成が議論された.現在,総務省ではSUTの作表にとりかかっている.長年,産業連関表の作表に携わってきた作成経験者が,従来の(伝統的)IO表と,今後我が国で作成されるであろうSUTについての違いについて説明した上で,従来の(伝統的)IO表作成の経験を踏まえてSUT作成上の課題について述べる.

  • 櫻本 健
    原稿種別: 講座
    2023 年 30 巻 2 号 p. 27-35
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/17
    ジャーナル フリー

     本稿は海外主要国における供給・使用表(Supply and Use Tables, SUT)推計の現状を概観する.SNAの推計を担当する政府機関がSUTの設計方針を決定する際の選択肢としては,データ公表の速報性を重視するか,データの正確性を重視するかの2つがある.オランダ,イギリス,オーストラリア,カナダは速報性を重視し,四半期SUTが用いられている.一方産業構造が複雑な日本,アメリカでは従来から速報性よりもデータの正確性を重視してきた.この2つの選択肢はどちらが良いとは一概に言えない.SUTの基礎情報となる統計調査や行政情報は製造業の集積や産業構造の複雑さに左右される.仮に製造業があまり無く,速報段階で多くの情報が網羅可能な国の場合,当然速報を重視するため,SUTの設計はその国の置かれた条件で決まる.

  • 氏川 恵次
    原稿種別: 講座
    2023 年 30 巻 2 号 p. 36-48
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/27
    ジャーナル フリー

     本稿では,供給・使用表からの対称産業連関表の推計に関して,第1に国民経済計算体系での事業所による生産活動に副次的生産が含まれること,供給・使用表から産業連関表への変換を必要とすることを述べる.第2にこの推計に際しては,国連で示されている大きく2つの技術仮定と販売構造固定仮定に沿って,さらに細分化した4つの仮定(生産物技術仮定,産業技術仮定,産業販売構造固定仮定,生産物販売構造固定仮定)に応じて変換がなされることを数式と数値例も含めて示す.第3に副次的生産の存在によって,幾つかの仮定に基づく変換の結果,ほぼ不可避となる産業連関表の投入係数の負値への対処方法について述べる.

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