別冊パテント
Online ISSN : 2436-5858
海外からの侵害品の流入に対する産業財産権の行使に関する諸問題
山田 威一郎
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2022 年 75 巻 27 号 p. 15-34

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抄録

 海外の事業者が日本の顧客に対して,日本の産業財産権の侵害品を発送する行為に関し,日本の産業財産権の侵害の成否を考える上では,属地主義との兼ね合いが問題となり,日本における実施行為があるといえない限り,海外の事業者に対し,日本の産業財産権の侵害の責任を問うことはできない。

 この論点に関しては,令和3 年の法改正で,意匠法,商標法における「輸入」行為に「外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為」が含まれることが明示されたほか,特許権侵害の事案では,東京地判令和2 年9 月24 日(平成28 年(ワ)第25436 号,グルタミン酸ナトリウム事件)において,日本における「譲渡等の申出」があったとして,日本における特許権侵害を認める判決が出されている。

 本稿では,これらの近時の動向を踏まえ,日本における特許権・商標権の侵害品が海外から流入する場合の種々の問題点に関し,検討を行う。

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© 2022 日本弁理士会
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