抄録
第一原理分子軌道計算法を用いてZrO2-R2O3(R=Sc, Yb, Y, Gd, Nd)系における酸素イオンの拡散過程での電子構造の変化を解析した。その結果、計算に用いたZrO2基二元系において添加元素のイオン半径の増大に伴い基底状態と遷移状態でのZr-O結合における共有結合性の差異が増大することが確認された。この傾向はFSZにおける酸素イオンの移動エンタルピーの変化に関する既報の実験結果の傾向と非常に良い一致を示している。このことからZr-O間の共有結合性は酸素イオン伝導性を記述する主要なパラメータの一つと考えられる。