抄録
Al2O3-ZrO2系において、ZrO2の結晶構造に対するAl2O3量の効果を検討した。αアルミナ粉末と共沈法によるZr(OH)4ゲルを混合することにより、15wt%、50wt%及び85w%のAl2O3を含有する複合粉末を作製し、その粉末を400℃から1300℃の温度範囲で2時間の熱処理を行った。85wt%Al2O3の粉末では、500℃から750℃の温度範囲で粒径11nm以下の準安定なt-ZrO2相のみが認められ、一方、15wt%及び50wt%Al2O3の粉末では単斜相ZrO2の割合が熱処理温度とともに増加した。Al2O3を多量に添加すると、ZrO2粒子が孤立し、粒子成長や相転移が効果的に抑制されるものと考えられる。