抄録
β型リン酸三カルシウムにおける一価および二価金属イオンの同時添加による固溶体の生成について検討した.一価金属イオンはCa(4)サイトに2M^ I =Ca+ (M^I:Li^+, Na^+, K^+およびAg^+イオン, :空子)の比で順次置換するように0~20mol%添加した.二価金属イオンは, Ca(5)サイトにM^II=Ca(M^II:Mg^<2+>イオン)の比で一定となるように9.09mol%添加した.一価金属イオン添加量9.09mol%以上でCa_9M^ II 2M^ I (PO_4)_7に起因する回折線が認められた.格子定数は一価金属イオンの添加量の増加に伴い,a軸,c軸ともに添加量9.09mol%まで直線的に変化した. 以上のことから,一価および二価金属イオンのβ―TCPへの固溶限界は18.2mol%であることがわかった.