抄録
多結晶薄膜における一軸性配向分布の解析に、ロッキングカーブ(以下、RCと略す)測定が広く使用されている。しかし、従来の方法は、1)配向が比較的強い場合のみにしか使用できない、2)結果が実験条件に依存しやすい、3)理論的裏付けを欠くために定量的な議論ができない、などの問題点が指摘されうる。本研究において、結晶子の配向に球面分布関数を導入し、1回のRC測定で配向を定量的に解析できる方法を開発した。観測RCに対する理論RCの最小二乗フィッティングにより、1)所望の角度範囲内において配向している結晶子の体積分率の導出)深さに依存した配向分布の解析)非常に僅かな配向分布の検出が可能である。