抄録
本研究は獨特な調成の高火度酸化焔焼成鐵赤釉の發色メカニズムを科学的に分析し、高火度に耐える赤色界釉薬として活用性の高い鐵赤釉の安定的調合の根據を提示しようとするものである。研究の結果、石灰釉界、石灰バリウム釉界、石灰マグネシア釉界における酸化鐵と燐酸監の添加で生成された結晶は、Si02、Fe2O3 及びcalcium iron phosphate(Ca9Fe(PO4)7)であった。しかし石灰マグネシア釉界のみで鐵赤色が發色するのはこのcalcium iron phosphate結晶中のFe3+がMg++ とNa+ で置換されることによって遊離化したFe2O3による發色である。