抄録
陶磁器の上絵具に弁ガラ(α-Fe2O3)を用いる場合、焼成後の発色は絵具への弁柄の添加量や絵具のフリット含有量や組成、焼成温度のみならず、α-Fe2O3 の粒子径、弁柄の粒子形状といった着色剤の特性にも影響される。そこで陶磁器用市販弁ガラを用いて、粒子形状、粒度分布、化学組成といった諸物性が粉体の色に与える影響について検討した。その結果、粒子径及び粒度分布が弁ガラの色に大きな影響を与え、粒子径が小さく分布の狭いほど、より鮮やかな朱色を発色した。弁ガラとフリットを混合した上絵具による評価についても粒子径が小さく、分布が狭い弁ガラが、より鮮やかな発色を示した。