抄録
長鎖アルコキシ基を有するアルコキシトリクロロシラン(CnOTCS, n = 12-20)が、加水分解により両親媒性分子になることに着目し、無機─有機ナノ複合体を合成した。長鎖アルコールとテトラクロロシランとの反応によりCnOTCSを合成し、部分加水分解によりアルコキシシラントリオールの生成を確認した。この加水分解溶液を冷却した結果、n = 16, 18, 20の系のみ白色沈殿が析出した。また、シラントリオールに対して低い溶解性を示す溶媒としてヘキサンを添加した後、冷却したところ、n=12,14の系においても白色沈殿が析出した。得られた固体試料のXRDパターンより、生成物は層状構造を有し、アルキル鎖長の増加に伴い、面間隔が直線的に増大することがわかった。以上より、自己組織化過程の合成条件を選択することで、炭素数12-20の範囲においてCnOTCSから層状シリカ─有機ナノ複合体が得られることがわかった。