抄録
ポリ力ルボシラン(PCS)にポリメチルシラン(PMS)を添加して溶融紡糸を行うことによって炭化ケイ素繊維の前駆体を合成した。PMS0.5%添加の場合には、通常の条件で溶融紡糸が可能であるのに対し、PMS添加量を20%とした場合には、溶融紡糸を可能とするには架橋阻害の働きを有する化合物の添加が必要であり、紡糸可能温度は低下した。PMS の添加は全般的にセラミックス収率の向上に効果があり、高温での強度保持をもたらす。PMSを添加して紡糸した場合には、アルゴン中焼成において573Kでいったん保持することにより、収率、強度の顕著な向上が見られる。これはPMSの架橋性がこの温度領域において、PCS鎖間を強固に結び付けるためと考えられる。