抄録
ガラスの破砕に伴い破面近傍のガラス構造に変化がみられることが知られていが、その構造変化を定量的に研究した例はほとんど報告されていない。本研究では、破砕したケイ酸塩ガラスを熱処理して構造緩和されることによる溶解熱の変化を測定し、破砕による内部エネルギー変化を求めた。この結果、鉛ケイ酸塩ガラスの破砕による内部エネルギーの増加はシリカガラスに比べてはるかに小さかった。これは、鉛ガラスが修飾酸化物によってガラス網目の空隙が満たされた構造であるため、高密度化の原因といえる網目のねじれに必要な空隙を十分に確保できないからと考えられる。また、ソーダ石灰ガラスは上述した2種類のガラスの中間的な挙動を示した。