抄録
水酸化アルミニウムを多量に含む汚泥の再資源化を目的として、浄水場で発生する汚泥(浄水汚泥)の水熱固化を試み、消石灰添加量が水熱固化体の強度発現に及ぼす影響について検討した。浄水汚泥に消石灰を0~20mass%加えて混合し、一軸加圧成形後、220℃で10時間水熱処理を行った。浄水汚泥は、消石灰未添加でも水熱処理により強度発現し、消石灰を添加すると、消石灰添加量 5mass% まで曲げ強度は増加して13.0MPa を示し、それ以上の消石灰添加量では逆に強度が低下した。強度発現した消石灰添加量10mass%以下においては、水熱処理することで数十 nmサイズの微細組織が形成した。この微細組織はSiO_2とAl_2O_3成分を主成分とする化合物から構成され、Al/Si (原子比)=1.0~1.5であることが判明した。これらの微細組織の形成が強度発現に大きく影響したと考えられる。