抄録
人工関節用ジルコニア(3Y-TZP)のAE法を用いた微視割れ検出と強度評価を行った.微視破壊過程に対して生体環境が及ぼす影響を調査するため,大気中及び生理食塩水中において4点曲げ試験を行った.AE発生挙動では最終破断以前にAEエネルギの急増点が確認された.従来の研究によりこの点が主き裂形成と一致することが確認されている.この時の応力を主き裂形成臨界応力σCとし,微視割れ検出による長期信頼性の評価を行った.その結果,曲げ強度よりσCは環境中で顕著な低下を示した.これより,主き裂形成に対し生体環境が及ぼす影響が大きいことが確認された.また,ジルコニアはアルミナに比べ主き裂形成後の余寿命が長いことが確認された.これはジルコニアの高靭化機構によって,主き裂形成後,き裂進展抵抗が大きくなりき裂の進展が妨げられたためと推察される.