抄録
炭酸アンモニウム共沈法により、易焼結性SmxCe1-xO2-y(x=0.10-0.25)ナノ粉末を合成した。合成した前駆体粉末は、700℃,2hの条件で酸素ガス流通下において仮焼することで、固溶体粉末を作製した。こうして得られた粉末を用いて常圧焼結法により、高密度焼結体を作製し、焼結体中の微細構造を透過型電子顕微鏡により観察した。その結果、ドーパントの量が多くなるに従い、粒内には蛍石構造ではない秩序構造を有するマイクロドメインが多く現れるようになり、導電率を低下させる傾向にあることが分かった。制限視野電子線回折試験の結果、マイクロドメインは、歪んだパイロクロア構造又はその関連構造であり、こうしたナノヘテロ構造がイオン伝導特性に大きな影響を与えているものと考察した。