抄録
高温対応型のトライボマテリアルとしては,セラミックスが有望な材料として挙げられる.トライボシステムにおいては,300℃以上の高温になると潤滑油ではメンテナンス上対応が難しくなるため耐熱性の固体潤滑材が必要となる.セラミックスの高温強度や硬さは高いが,それ故にセラミックス同士の摺動においては,トライボロジー的に問題が生じる.セラミックスの破壊は脆性的であるため,一旦破壊(摩耗)が生じはじめると,それが急激に進展する.それを回避することが,セラミックスのトライボマテリアルとしての応用の重要な点である.今回は,産総研における高温対応型自己潤滑性セラミックスの開発状況を中心に述べる.