日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
第17回秋季シンポジウム
セッションID: 2P09
会議情報

C=C二重結合を有する新規AIN前駆体ポリ(アリルイミノアラン-co-エチルイミノアラン)の合成と熱分解
*熊倉 康紘森 勇介菅原 義之
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
水素化リチウムアルミニウム(LiAlH4)、アリルアミン塩酸塩(CH2=CHCH2NH2·HCl)及びエチルアミン塩酸塩(CH3CH2NH2·HCl)を用い、前駆体構造中にC=C二重結合を有する新規窒化アルミニウム前駆体ポリ(アリルイミノアラン-co-エチルイミノアラン)[HAlN(allyl)]m[HAlN(Et)]nを合成し、その前駆体をIR、NMR、TG分析によりキャラクタリゼーションした。得られた前駆体は可溶性白色粉末であり、約80%の収率であった。IR分析より1864 cm-1および1822 cm-1付近にv(Al-H)の吸収帯が観測されたことから、前駆体構造中にAl-H結合が含まれていることがわかった。また、1H, 13C NMR分析よりEt基及びAllyl基の存在が確認でき、さらに、27Al NMR分析では136 ppm付近を中心とするブロードなシグナルが観察され、Al周辺環境は主としてHAlN3(4配位)であると推定された。これらの結果は既報の籠型構造を有するAlN前駆体に関する結果にほぼ一致し、得られた前駆体は主に籠型構造を有すると推定された。熱分解過程に関しては、セラミック収率が約72 mass%(Ar, 1000°C)となり、ポリエチルイミノアラン(HAlNEt)8(約61 mass%)より大幅に向上した。この要因としては、熱分解過程において、前駆体構造中のC=C結合が含Al化合物の揮発の抑制に寄与していることなどが考えられる。以上より、Et基の一部を重合可能なAllyl基に変換させることにより、可溶性と高収率を併せ持つ新規AlN前駆体の合成に成功した。
著者関連情報
©  日本セラミックス協会 2004
前の記事 次の記事
feedback
Top