抄録
近年、環境問題に関連して、セメント産業においても排出CO2の削減が切望されている。このような要望を実現する手段のひとつとして、セメントの炭酸化反応を利用しコンクリート構造物にCO2を固定化させる方法が挙げられる。とくに、低熱ポルトランドセメントにエチレン酢酸ビニル共重合体を添加した系(一般にポリマーセメントと呼ばれている)では強度特性の向上をともなう著しいCO2の吸収が確認されているが、その反応機構については解明されていない。本研究ではこのポリマーセメントの炭酸化の反応機構や強度発現性を調査し、また今後このような反応を利用した材料開発を行うための基礎的なデータを得ることを目的とした。