抄録
表面にラミニン-アパタイト複合体を形成させたチタン金属は、アパタイトによる骨結合能とラミニンによる上皮組織接着能を併せ示すので、人工歯根用材料として有用であると期待される。そこで本研究では、未処理チタン(UT)、ラミニンのみを吸着させたチタン(UL)、アパタイトのみを形成させたチタン(HA)、及びラミニン-アパタイト複合体を形成させたチタン(AL)上でそれぞれ上皮細胞を培養した後、そのRNAを回収し、細胞接着挙動に作用する三種類のタンパク質のmRNA発現量をRT-PCR法を用いて測定した。その結果、AL上で培養した細胞では、他の3種類の試料上で培養した細胞に比べ、BP230と呼ばれるタンパク質の発現量が増大している可能性が有ることが分かった。