抄録
高性能酸化物熱電変換材料の設計指針を見出すため、歪んだペロブスカイト型結晶構造を有する強相関電子系複合酸化物LaNiO3に着目し、La3+サイトをイオン半径の異なる3価の希土類イオン(Pr3+, Nd3+, Sm3+, Eu3+)で置換した焼結体の高温(400_から_700 ℃)熱電変換特性を調べた。全ての試料は測定温度領域全域で金属的な導電性を示し、その導電率は希土類イオン半径の増大に伴い増加した。一方、Seebeck係数は置換に依らずほぼ一定(_から_-30 VK-1)であったことから、導電率の変化は格子歪みの変化に伴うキャリア移動度の変化に相当すると考えられる。