抄録
メカニカルミリングによってグラファイトをナノ化することにより、水素が吸蔵されることが明らかになった。吸蔵された水素がナノ・グラファイトのどこに存在するかは興味あるところである。中性子回折は水素原子の観察に適しており、軽水素を重水素置換することにより、その存在位置を明確にすることができる。重水素(D)を吸蔵したナノ・グラファイトの動径分布関数RDF(r)は水素原子がナノ・グラファイト中の2種類のサイトに存在していることを示した。一つはC-C結合の切断によって生じた炭素原子のダングリングボンドと重水素原子が結合して存在し、もう一つはグラファイト層間に位置することが明らかとなった。