抄録
TixSn1-xO2固溶体は物性の連続的な変化、バンドギャップの制御が可能な点から機能性材料として期待できる物質である。従来の固溶体の作製法では相図に従った分相が生じるため組成の制御と結晶性の両立が困難であった。本研究ではTiOSO4とSnF2を溶解した水溶液において、pHと濃度を調整することで固溶体結晶を60℃で直接析出させることに成功した。前駆溶液の原料濃度により析出物の組成は0 < x < 1 の全領域で制御が可能で、熱力学的に不安定な組成においても相分離、不純物の生成のない単相の固溶体結晶が得られた。格子定数は組成とともに連続的に変化しており、それにともなって紫外光吸収端から求められるバンドギャップも連続的に変化していることが確認された。