抄録
誘電体フィルタや誘電体アンテナを代表とする小型誘電体デバイスにおいては、もっぱらTEM波による伝送モードや共振モードが利用されてきている。しかしながら、10GHz以上の周波数帯においてはTEM波を利用した小型デバイスは損失が増大し実用性が乏しくなる。一方、TE波を利用した誘電体導波管部品はより高い周波数帯に適していると言えるが、高誘電率を持つ既存の誘電体セラミックス材料は誘電体導波管部品に相応しい特性を備えていない。そこで、誘電体セラミックスに代わる誘電体材料として水晶に着目し、これを利用した誘電体導波管部品の開発を進めた結果、ミリ波帯においても優れた特性を示すフィルタやアンテナが実現されている。