抄録
0.54μm帯用レーザ媒体の実現を目的として、Tb3+を添加した光増幅媒体の検討を行っている。本媒体にYb3+を共添加すると、Tb3+の新たな励起方法として、0.98μm帯の励起光源によるアップコンバージョン励起が可能であると考えられる。本研究では、Tb3+-Yb3+共添加シリケートガラスを溶融急冷法により試作し、Tb3+のアップコンバージョン励起特性について検討した。本系において、0.98μm帯の励起光によるTb3+からの緑色蛍光(5D4→7FJ)を観測できた。さらに、Yb3+の2F5/2→2F7/2遷移の蛍光寿命に対するTb3+の添加濃度依存性を検討し、Tb3+添加濃度の増加に対してYb3+の蛍光寿命は減少することを確認した。観測された緑色蛍光はYb3+-Tb3+間の協同エネルギー移動機構によるものであり、そのエネルギー移動率はTb3+とYb3+の添加濃度に大きく依存することを確認した。