抄録
近年,クリーンエネルギーの研究開発が盛んに実施されている。なかでも,固体高分子型燃料電池(PEFC)は小型動力源として期待される。現在,PEFCセルには触媒として白金が用いられ,炭素繊維シートに担持されている。本研究では,気相法により酸化モリブデン(MoO3)ナノ結晶を育成し,ナノカーボン材料と複合化することを目的とした。ナノサイズまで小型化することで,白金同等の触媒活性が得られることが期待できる。気相法でMoO3結晶を育成したところ,原料組成や加熱温度などの育成条件に依存して,ナノカーボン表面に晶出するMoO3結晶の粒径は変化し,最小約10 nmまで小型化することができた。