抄録
化学合成や分離抽出など様々な反応が、単一溶媒よりもむしろ混合溶媒を反応場として行われている。これらの化学反応には反応場の物性が影響していることはいうまでもない。しかし、混合する液体の種類や組成比は経験的に決められることが多く、反応場の溶媒構造などの知見にもとづいた選択はなされていない。講演者は、これまで種々の二成分混合液体をX線や中性子散乱法を用いてミクロスコピックに観測してきた。本講演では、アルコールと水の混合液体中で形成されるクラスターおよび冷却や塩誘起によるアセトニトリル-水混合液体の相分離現象を広角X線散乱法や小角中性子散乱法によってとらえた研究について報告する。