抄録
アパタイトが示す骨伝導性と骨誘導性に関しては現象論、経験論的な研究が行われてきたが、なぜ材料であるアパタイトが細胞の遺伝子情報の発現に影響を及ぼすかに関しては明らかにされていない。我々はこの現象を十分に説明するために、結合次数や有効電荷などのパラメータについて第一原理計算に基づくDV-Xα法による分子軌道計算によって、材料のナノ表面で生じる現象を物理式、電子論的に規定することを試みた。具体的にはアパタイト構造中に存在する二種類のCaサイトと高分子材料の官能基との結合次数の検討を行い、波動関数を三次元的に可視化することで、材料表面における反応性の議論を行った。