抄録
リン酸カルシウム骨セメント(CPC)は骨補填材として使用されているが、吸収・骨置換が遅いという問題点があった。我々は今回、CPCに血液を混合した時の基礎物性および生体吸収性をin vivoおよびin vitroの研究を基に調べた結果、血液の混入は硬化時間の延長や硬化体の力学的強度の低下を引き起こすが、生体へのCPCの吸収や骨吸収を促進する利点のあることを見出した。CPCを生体に用いる際に血液の混入は避けられず、臨床ではその影響を受けながら使用していることから、さらに臨床におけるCPCの吸収や骨置換を促すための血液混入法について検討したので報告する。