抄録
近年、自動車衝突防止レーダなどの高度道路交通システム(ITS)分野において通信機器の小型化、軽量化及び高速化が強く要求されている。この要求を満たす半導体デバイスの有望な方式としてシステムインパッケージ(SIP)が注目されている。本SIP技術の特長は、能動及び受動素子部品を基板内蔵化することにある。これにより、低消費電力化、高性能化、実装面積の削減が期待される。しかしながら、SIP構成部材の一つである高誘電率絶縁体層で比誘電率が100を超える低誘電損失な無機?有機複合材料は見当たらない。とりわけ、環境低負荷の非鉛系材料はない。
そこで本研究では、[0.97{0.8BaTiO3・0.2BaZrO3}・0.03Ba(Fe1/2Ta1/2)O3 + 0.5 mass% FeTaO4](BZT-FT)系無機粉体を用いて表面改質を行った後、エポキシ樹脂との複合化を検討する。表面改質の諸条件及び無機粉体の粒径分布が複合体の高周波誘電特性に及ぼす影響について報告する。