抄録
ZrW2O8は広い温度範囲で等方的に負の熱膨張を示し、その熱膨張係数は-8×10-6/degである。一方、MgWO4は正の熱膨張係数を示し、その熱膨張係数は5×10-6/degである。本研究では負の熱膨張を示すZrW2O8と正の熱膨張を示すMgWO4を複合化することで熱膨張係数の制御を試みた。原料にはゾルーゲル法を用いて作製したZrW2O8アモルファス粉体と結晶化させたMgWO4粉体を用いた。この2種類の粉体を任意の割合で混合し、放電プラズマ焼結法を用いて複合焼結体を作製した。得られた焼結体をTMAで評価したところ、組成に応じて負から正まで熱膨張係数を制御できることが明らかとなった。この際、体積比1:1ではそれぞれの熱膨張より1桁小さい10-7オーダーの熱膨張を示した。