抄録
トバモライトやゾノライトなどのケイ酸カルシウム水和物は、住宅の外壁材をはじめ、断熱材、保温材、耐火被覆材や人造木材などに利用され、また調湿材としての検討もなされている。以上のような各種のケイ酸カルシウム水和物を利用した材料、特に炭酸化による調湿機能の向上を期待した研究は、毛細管凝縮の起こるゲル空隙に着目したものである。また、トバモライトの生成によって生ずる毛細管空隙は、それ自体を構造体として利用する場合、貫通細孔としての機能を有するため、壁材全体のゲル空隙を有効に利用し調湿機能を向上させると考えられる。本研究は、最適なトバモライト系調湿材とするために、主に空隙構造に着目し検討を行った。