抄録
Mo, Nbなどの遷移金属のハライドは、直径約1nmの6核クラスター分子を形成することが知られている.これらの分子は、無機化合物でありながら、明確な分子構造をもつ、配位可能なサイトをもつ、などの特徴をもつ.我々はこの特徴に着目し、これら遷移金属ハライドクラスタを部品として用い、ナノメートルサイズの高次構造を構築する研究を進めている.今回は、直線状のナノ細孔をもつメソポーラスシリカのチャネル内に、配位子で連結したMoハライドクラスタ分子ワイヤを合成した.窒素吸着による細孔解析、TEM, IRなどにより、キャラクタリゼーションを行った.この分子ワイヤの機能はまだ不明である.しかし、このような無機分子を用いた1次元分子ワイヤ合成へのアプローチは、ボトムアップ型ナノテクノロジーの基本技術として発展する可能性がある.