抄録
V3O5はマグネリ相化合物の一種として知られているが、この物質群はその特異な構造から強相関電子系特有の物性を示すことが知られている。V3O5は室温では半導体であるが、428Kにおいて金属_-_半導体転移を起こす。今回の研究ではV3O5単結晶に2端子でパルス電圧を加えながら、その時に試料中を流れる電流を測定した。測定の結果、電圧を上げていくと試料の抵抗値は大きく減少し、最終的に金属_-_半導体転移が観測された。この転移はある決まった電圧で起こるものではなく、転移までに加えるパルス電圧や印加時間等に依存することから、試料中を流れる電流によって生じたジュール熱によって試料が転移温度まで加熱されたと考えられる。この性質から、サージアブソーバ等への応用が期待される。