抄録
我々は室温でわずかな電気磁気効果を示すCr2O3極薄膜を作製し、その電子デバイスへの応用の可能性を探る研究を行っている。これまで、c-Al2O3基板上に作製されたc軸に優先配向したCr2O3薄膜において1~10 Vの印加電圧において電気磁気効果を発現することを確認した。今回我々は、この薄膜上に酸化物強磁性体薄膜を用いたヘテロ接合を作製しこの得られた電界誘起の磁気モーメントがヘテロ界面に及ぼす影響を探った。得られたヘテロ接合を有する試料の磁化測定の結果、印加電圧15Vにおいてわずかではあるが強磁性状態の変調が確認された。当日は、結晶学的、磁気・輸送特性の観点からこのヘテロ接合に関して詳細に議論する。