抄録
撥水性固体表面における液体の濡れ性を評価するのは単に水をはじくだけでなく、液滴の除去性能を示す「動的」な濡れの重要性が期待され始めている。実際の工業材料では大きさや機能などから表面の傾斜角が決まっている場合がほとんどで、「動的」な濡れを評価する場合、転落を開始する傾斜角よりもむしろ一定の傾斜角における液滴の転落加速度で議論されることが必要である。今回、前処理した基板上へ転落性が異なる撥水性シランを用いて連続的な表面エネルギー傾斜を持つコーティング膜を作製し、その傾斜複合表面構造膜での液滴の転落加速度や転落角等の水滴除去性の計測結果について述べる。