抄録
エアロゾルデポジション(AD)法は、加熱工程を全く必要としない新しいセラミックス膜の形成方法である。そのため、ガラス、金属、セラミックスなどの各種基板上にセラミックス膜を室温で直接形成することができる。AD法により作製した膜の特徴は、ガラス質からなる粒界相が実質的に存在しないこと、密着強度が大きいこと等が挙げられる。近年、半導体製造分野において、微細化技術はウェットプロセスからドライプロセスへと移行している。その内、プラズマエッチング技術は腐食性ガスを用いるため、半導体製造装置を構成する部材には耐プラズマ性に優れた材料が求められている。最近、耐プラズマ性に優れる材料としてイットリアが注目されている。しかし、イットリア焼結体や溶射膜には数m以上の大きさのポアや粒界相が存在し、プラズマ雰囲気に曝されるとそれらを起点に腐食が進行する。そこで本研究では、AD法によるイットリア膜の作製を試み、その耐プラズマ性について評価を行った。