抄録
反応焼結SiCの弱点である強度特性の向上を目指して実験的検討を加えた結果,反応焼結SiCの曲げ強度が残留Si径に依存することを見出し,残留Si径が小さくなるほど高強度を発現することを実験で明らかにした.具体的には,残留Si径を数mmオーダーから100nmオーダーに変化させることで,室温での三点曲げ強度を500MPaから1200MPaの間で制御できることを示した.本研究では,三点曲げ強度1000MPa級の高強度反応焼結SiCを対象にして,その微構造を透過型電子顕微鏡観察とX線回折により明らかにすることを目的とする.さらに,強度特性に影響を及ぼす遊離Siの分布形態について水銀圧入法を用いて考察を行う.