抄録
我々は室温でわずかな電気磁気効果(ME)を示すCr2O3極薄膜を作製し、その電子デバイスへの応用の可能性を探る研究を行っている。これまでCr2O3/(La,Sr)MnO3(LSMO)構造においてCr2O3のゲート電圧の変化によってヘテロ界面の輸送特性を変調できることを示してきた。今回、それらの輸送特性とME効果との関係を詳細に調べるために、チャネルである強磁性層の膜厚を変化させた試料を作製し界面交換結合状態とその輸送特性に関して評価を行った。LSMOの膜厚を20~80 nmと変化させたところ、強磁性キュリー温度は、膜厚の減少に伴って減少した。この試料上にCr2O3を成長させたところ80 nmの試料において交換結合が確認された。当日は、これら交換結合の関係と輸送特性との関係を議論する。