抄録
潤滑油は自動車産業をはじめとする工業的な分野や、身近な摺動部に至るまで今や欠くことのできない存在となっている。近年、環境保全の観点から、環境に負担が少ないとされる、植物性潤滑油の研究は盛んであり注目度が高いといえる。潤滑特性を有するものは、油に限らず固体潤滑材として知られるグラファイトや二硫化モリブデンなどの他、生物の体表粘液や間接液にも優れた潤滑作用を持つ液体が存在する。この液体には共通して曳糸性が存在することが知られている。本研究では曳糸性を有する植物性粘液としてアオイ科のトロロアオイを用い、潤滑特性を明らかにするともに曳糸性との相関性について検討を行う。