抄録
ダイヤモンドライクカーボン(Diamond-Like Carbon)は,高耐摩耗性と低摩擦性を有する優れたトライボロジー特性を示す.しかしながら,DLC膜は,生産性と密着性が悪いため,自動車産業で幅広く使用されていない.そこで,著者らは,直流プラズマCVD法を用いたSi含有DLC膜(DLC-Si膜)に注目した.その成膜方法は,スパッタリング等の方法に比べ,装置および処理コストが低い特徴を示す.この成膜方法は,複雑形状部品にも膜を容易に形成できる.さらに,独自の表面活性化処理により,鋼材との強い密着性を得ることを可能とした.これらの技術により自動車部品の電磁クラッチの量産化を達成することができた.